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グラフィックデザイナーとDTPオペレーターの違いと分業

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組版において、デザインをする「グラフィックデザイナー」の存在は不可欠です。(長いので以下「デザイナー」とします。)

一方、コンピュータで組版作業を行う人を「DTPオペレーター」と呼んでいます。

DTPを生業としていますと、業界外の方から「お仕事は何ですか」と聞かれるたび、本当はDTPなのに、世間的には「DTP」と言ってもあまり知られていないため、つい「デザイナーです」と言ってしまうことがよくあります。

世間話や話のきっかけ程度で、相手も別にそんなに詳しくこちらの仕事を知りたがっているわけでないのであれば、それで充分なのですが、もしも相手が本当に知りたがっている場合は、もちろんもっとちゃんと説明しなければなりません。

どのように説明したらよいでしょうか?

就職しようとする人の間でも、「デザイナー」と「DTPオペレーター」の違いを実はあまりよくわかっていないんです、という方は多いようです。

以下に説明しますように、「デザイナー」と「DTPオペレーター」は本当はぜんぜん違うものです。賢く分業し、かつ、両者をうまくつなぐことによって、DTPの仕事の効率や品質は大きくアップします。

デザイナーの仕事とDTPオペレーターの仕事

たとえば1000ページある商品カタログを作成する場合、デザイナーがその1000ページを全部作るということはもちろんありません。

カタログの中には、同じデザインにしたいページがたくさんありますので、デザイナーはそれぞれのデザインを作るだけです。簡単にいえば、1000ページのカタログの中にページのデザインが10種類あるなら、デザイナーはこの10ページを作るだけです。その中に入れるテキストや図版もたいていは「●●●●●」や「¥0,000」のようなダミーで、実際の内容ではありません。

DTPオペレーターは、デザイナーからデザインをもらって、それをコピーして、原稿をもとに実際の内容を入れていくことによって、実際の1000ページを制作します。

デザイナーに求められる資質とDTPオペレーターに求められる資質

デザイナーとDTPオペレーターは、このように仕事内容が異なりますので、それぞれに求められる資質も異なります。

デザイナーは、デザインを創造することが仕事ですので、資質として、創造性が求められます。

DTPオペレーターは、もらったデザインを複製して中身を間違いなく埋めていくことが仕事ですので、ルールを愚直に緻密になぞっていく資質が求められます。

デザイナーには求められないがDTPオペレーターは身につけるべき技能

DTPオペレーターは、同じ見た目を正確に複製していくことが仕事です。

たとえば図版とテキストの間の間隔が、場所によってバラバラでは、良い仕事とはいえません。

本文の文字サイズが、脈絡もなく場所によってまちまちでは、プロの仕事とはいえないでしょう。

こうした見た目がバラバラにならないよう、DTPソフトには、スタイル定義など、さまざまな見た目統一機能がそなわっています。

DTPオペレーターは、こうした見た目統一機能を駆使する技能を身につけてはじめて一人前といえます。

一方、デザイナーはこのような技能を身につける必要はあまりありません。

デザイナーがDTPオペレーターをなるべく兼ねないほうがよい理由

昨今ではデザイナーもコンピュータを使ってデザイン成果物を制作します。

したがって、デザイナーがDTPオペレーターを兼ねることは、技術的には不可能ではありませんし、実際、雑誌の中のデザイン性の高いページや、一点もののチラシなどにおいては、デザイナーが完成まで作業を行うことも多いです。

しかし繰り返しになりますが、デザイナーの仕事は本来、デザインを創造することです。デザイナーがその本領を最も発揮できるのは、その創造性を活かす場面においてです。

したがって、もらったデザインを愚直にコピーして、ルールに忠実に従って間違いなく内容を埋めていくDTPオペレーターの仕事を、デザイナーにやらせてしまうことは、そのデザイナーの資質を無駄にしていることになります。

また、DTPオペレーターが仕事の効率と品質を上げるために持っているべき、見た目統一機能を駆使する技能を、デザイナーは習得していない場合もあります。

以上のように、デザイナーとDTPオペレーターは、それぞれの資質と仕事をはっきり認識したうえで、賢く分業することが、とくにページものについては、DTPの効率をアップするうえでも品質を守るうえでも不可欠と言ってよいでしょう。

デザイナーが作曲家ならDTPオペレーターはピアニスト

音楽にたとえるなら、デザイナーが作曲家であるなら、DTPオペレーターはピアニストであるといえます。

作曲家と同様に、デザイナーは創造性を求められます。

ピアニストと同様に、DTPオペレーターは楽譜を正確に読み取って再現する技能がまず求められます。

作曲家もピアノを弾けないことはありませんが、作曲家自身が、ピアノを聴きたい人すべての所へ行って演奏しなければならないとしたなら、ごく少数の人にしか曲を聴いてもらうことができず、また、新たな曲を作るヒマもなくなってしまうでしょう。

また、ピアニストは専門家として、演奏のための技巧を磨いていますので、たいていは、作曲家自身が演奏するよりも、良い演奏を聴衆に届けることができるでしょう。

デザイナーが短距離走者ならDTPオペレーターは長距離走者

陸上にたとえるなら、デザイナーが100メートル走などの短距離走者であるなら、DTPオペレーターはフルマラソンなどの長距離走者であるといえます。

よく知られるように、短距離走と長距離走では鍛えるべき筋肉の色が異なりますので、100メートル走で1位の人が、フルマラソンで1位を取れるとは限りませんし、その逆もいえます。

もちろん、1人の人を同じ日に両方の競技に出させるなど無茶な話といえるでしょう。

デザイナーがキャラデザならDTPオペレーターは動画マン

アニメ業界にたとえるなら、デザイナーがキャラクターデザイン担当であれば、DTPオペレーターは動画マンであるといえます。

キャラクターデザインをやっている人が自分で動画を描くことは、できるかもしれませんが、すべての動画を自分で作成しようとしたら、かなり大変です。

また動画マンは、専門職として、対象を自然に動かす技能に長けていますので、アニメーションとしての品質は、分業で動画マンに動画を描かせるほうが、一般的には高くなるでしょう。

デザイナーとDTPオペレーターをつなぐDTPエンジニアが不可欠な理由

デザイナーとDTPオペレーターの仕事の違い、求められる資質の違い、そして両者が兼業しないほうがいい理由については、以上説明しました通りですが、両者はこれほど互いに異なる性質の人々ですので、実際のDTPの仕事においては、この両者をつなぐ役割が不可欠となります。

以下、仮にこの役割を「DTPエンジニア」と呼びます。

DTPエンジニアの仕事

デザイナーから来たデザインをDTPテンプレートとDTPルールへ落とし込むのが、DTPエンジニアの仕事です。

デザイナーが作成したデザインに網羅されていないケースについても、DTP経験からの類推で適宜補ってやり、テンプレートやルールを作ります。基本的にはいちいちデザイナーに確認を取りません。が、確認取るべきと判断した部分についてはデザイナーへ投げます。ここの勘所がDTPエンジニアの腕の見せ所です。

このDTPテンプレート作りには、InDesign案件であるにもかかわらずデザイナーがIllustrator形式で作って来たデザインをInDesignテンプレートとして作り直すようなアプリ変換も含まれます。

また、デザインからアイコンや罫を抜き出して部品集も作ります。

テンプレート内には、段落・文字・表などのスタイルやスウォッチも定義します。

それらの使い方をルールに記述します。

いわば、仕事の具体的な枠組みを創る仕事であるといえます。

こうした枠組み作りによって、DTPオペレーターたちの作業を効率化し、かつ、誰がやっても同じ出来上がりになるよう、留意するのです。

また、DTP作業が始まった後に、DTPオペレーターから、デザインから少しはみ出す個別具体の例について質問が来たら、裁量で答えられる部分は答え、そうしないほうがいいと判断した部分についてのみデザイナーへ投げることも、このDTPエンジニアの仕事になります。

もしここで堰き止めないで、DTPオペレーターからのすべての質問をそのままデザイナーへパススルーしていたら、ちっとも仕事が進みませんし、デザイナーも資質的に、そういう質問に答えることはあまり得意としていないケースが多いです。

半自動組版やXML組版を行う場合には、その部分まで含めてDTPエンジニアが面倒見るか、あるいはその専門の人と連携してDTPルールを策定することになります。

このDTPエンジニアの役割は、DTPオペレーター経験が豊富でなければ決して担うことができません。

アニメ制作でいえば作画監督にあたる職掌といえます。

誰がDTPエンジニアか

現場において、このDTPエンジニアの役割に具体的な名前や役職が与えられていることは案外少ないのですが、ベテランのDTPオペレーターの人であれば、自然とこの役を兼務していることが多いと思います。

まれに、デザイナーがこの役を担っていることもありますが、デザイナーにとっては大きな負担になります。

この役割を誰がやるのか明確に定めていないケースはけっこうありますが、案件ごとに、必ず誰かがやっていることです。

暗黙の了解で誰がやるかみんながわかっている場合はまだいいのですが、誰かがやるだろうではプロジェクトがうまく回らなくなってしまいます。

誰かがこの役をやらないと、作業に入ってからの効率が悪いですし、現場の疑問点もどこへお伺いを立てたらいいかルートが確立されず、結果、バラバラの出来上がりになってしまうおそれがあります。

できれば、誰がDTPエンジニアかをきちんと正式にアサインして、その働きにきちんと報いることで、プロジェクトが円滑に周り、デザイナーもオペレーターも働きやすくなるでしょう。効率と品質も向上します。

DTPコーディネーターとは違う

DTPの仕事には、その割り振り、進捗管理、納期管理、キャパシティ管理などを行う役割を誰かが担うことも必要です。

この役割を仮に「DTPコーディネーター」と呼びます。アニメ制作でいえば制作進行にあたり、DTPオペレーターたちの筆頭者や、その上長がこの役割を担うケースが多いと思います。

上記のDTPエンジニアは、このDTPコーディネーターとは異なる役割であることに注意する必要があります。

DTPエンジニアが現場とつなぐべき相手はデザイナーです。これに対して、DTPコーディネーターが現場とつなぐべき相手は、最終的にはお客さんです。

DTPエンジニアにはDTPオペレーターの豊富な経験が必須ですが、DTPコーディネーターには必ずしもその必要はなく、むしろ対人能力が求められます。

DTPオペレーターたちの筆頭者がDTPコーディネーターを兼務している場合には、DTPエンジニアと兼務になる場合も多いと思います。しかし、求められる資質が異なることから、組織にゆとりがあれば、別々の人がやるほうが望ましいでしょう。

別々の人がやる場合は、デザインが毎回変わるので大変です、といった声をDTPエンジニアから密に得て、誠実に対応する必要があります。

グラフィックデザイナーとDTPオペレーターの違いまとめ

このように、グラフィックデザイナーとDTPオペレーターとの間には、

  • グラフィックデザイナーはデザインを創りだす仕事で、創造性が求められ、本全体を作るわけではないことが多い
  • DTPオペレーターはデザインを忠実になぞる仕事で、緻密性が求められ、本全体を最終的に作る

という大きな違いがあります。

昔『飾りじゃないのよ涙は』という歌がありましたが、それにならえば、
「グラフィックデザイナーじゃないのよDTPオペレーターはハッハァ~ン♪」
ということになります。

この違いをきちんとふまえたうえで、賢く分業し、かつ、両者をつなぐDTPエンジニアを活躍させることで、DTPの効率と品質を向上させることができます。

このような体制をぜひ構築し、DTP業務に役立ててみてください。

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